あぁ……血とはどうして
こんなにも美しいんだろう……。
しばらくの間、私は莉音の足から
溢れ出して来る、真っ赤な鮮血に
うっとりと見惚れていた。
「・・・こ。・・・うこ。・・・優子!」
「へっ!?」
優里の呼びかけに気付いていなくて、
私はきょとんとする。
「”へっ!?”じゃない、優子。
さっきから何回名前呼んだと思ってる?
莉音を見て一体何を考えていたんだか」
「あっ……あはは……ごめん。ちょっとね」
莉音の血に見惚れていた、
なんてさすがに言うことができず、
軽く頭を掻きながら薄笑いをして誤魔化す。
「変な優子!」
優里は笑った。いつものように、素で。
だが……それは一瞬にして
あの不気味な表情に変わった。
「・・・これからだよ、発砲事件は。
まだまだ撃たれる。ここは血に塗れるよ」

