ミッドナイト・スクール

ダダダダダダ!
聞き覚えのある音が遠くから聞こえて来る。
「しまった『あいつら』を忘れてた!」
和哉の叫びに全員が振り向いた。
「グアウウウウッ!」
例のゾンビ犬たちだ。グラウンド側の通りからこちらへ向かって来ている。
「くそう、ここは俺が何とかする。お前たちは先に行け!」
言うやいなや、和哉はバットとボールを持ってグラウンドへと飛び出した。
「馬鹿、お前一人じゃ無理だ!」
続いて冴子がグラウンドの方へ駆けて行く。
「信二、こいつらと悠子を頼むぞ」
 後藤も飛び出した。
「ま、待ってくれみんな!」
信二の声を開かずに、三人は犬たちの方へと突っ込んで行った。
突然の展開に、信二はどうしていいか分からず、その場に立ち尽くしていた。
「何をしてるの! 私たちで悠子を助けるのよ」
ユリに激しく揺さぶられて、信二は我に返った。
「わ、わかった」
信二は三人の事を気遣いつつ、体育館へと走りだした。