理由はよく分からないが、どうやらそのシオナの幹部様が、私に目をつけてくれたらしい。

私の名前で転勤願いを勝手に提出して…要するに、スカウトだ。

国も荒れているし、もはや何でもありだ。

信用できる状況。

とは言い難かったが、このまま国家警察をクビになったら、この不況だ。

売春婦か盗人になるより仕方ない。

こうして私は、約束の日に、約束の駅に行った。

そこで待っていたのが、ブラッドなのだ。

回想、終わり。

ちらり。とブラッドを見やる。

彼はまだぼんやり窓の外を眺めながら、煙草を吹かしていた。