(……何なのあれ!?)

全身に緊張が奔るが、近いようでいて遠い距離は深紅の壁に阻まれて、彼女にはそれ以上歩み寄ることさえできない。

呼びかけてみようと声を張り上げたが、結局はしこたま喉が焼けるような煙を吸い込んだだけで、ついにエルザは益々勢いを増す炎から逃れる他はなかった。

いつしか炎の中の人影は、見えなくなっていた。

こうして

結局2人には何の収穫もないままに

夜が明けた。

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