*シルヴァ*

ライラシティ。
樹齢3万2千年の御神木が守る近代都市。

御神木が育む豊かな水や緑と近代科学が見事に調和したとても美しい都です。

私は、さっき電車の中で読んだ雑誌の文字を思い出していた。

ここは本当に駅のホームなのだろうか。

生き生きとした生木が、至るところに生えていた。

『Welcome to Lairra city=科学と緑の街ライラ=』

人と緑の共存を見事にやってのけているとは、まさにこのことだろう。

私は、都会で育った。

だけどそこは、ここよりもっとすさんで、都会が持つ華やかとは切り離されたような場所だった。

便利を追求した果てに、機械に人間が合わせて生きているような都会は、

まるで機械に支配されているようで、好きにはなれなかった。

ライラは、そうではない。
何となくだが、そんな気がした。

「…にしてもすごい人。」

プラットホームには人、人、人。

あくせくと自分の目的の為に忙しく動く人で込みあっている。

しかし、これも都会独特の現象。しょうがないことだろう。

今回も、ブラッドからシオナの任務内容については知らされていない。

だとすれば、やることは一つ。

「ブラッドさん、行きますよ!」

買い物だ!

私は、大欠伸をしていたブラッドの腕をひっつかむと、黒くひしめく人混みに紛れた。