バルベールの心臓が埋まっているその部分から、源泉のように水が溢れ出していた。

触れると冷たいそれは、しかし、滴って染みを作ることもなくこぽりと零れては消えて行く。

それは、銃弾が埋まっているはずの痛々しく抉れていた場所から溢れ、不思議な輝きを放って消えてを繰り返していた。

ジェシカが呆気に取られているうちに、だんだんその出どころは身体の内から浅くなり、ついに、最後の一滴を放って、消えた。

バルベールの胸の銃痕は、なくなっていた。

そよ、と柔らかな風が草を揺らした。

だがもう、鈴の音は聞こえて来ない。

暖かな日差しを浴びて、バルベールの頬に、赤みが差しこんだ。

氷のように閉ざされていた瞳が溶かされ、

ゆっくりと、


バルベールは目を開いた。