「ぐっ……!!」

私の体は、軽々と宙を舞う

息ができない
熱さと区別がつかない痛みが、腹から全身に、一瞬で広がった

背中から、処刑台に落ちる

今度は後ろから、熱い衝撃が体を奔る

走り寄って来た兵士は、すかさず私を羽交い締めにした

「ぁ、…か…は、」

クルシイ
イキガ、デキナイ

みるみる思考は白に染まっていく

(私、……シヌノカナ)

意識を手放しかける

不意に、群集から歓声が上がった
組伏せられた兵士の頭ごしに、銀色の刃がくるくると回りながらこちらに飛んで来るのが見えた

その剣は、どんどん近づくと
もつれ合っている私達の頭すれすれの位置に

刺さった



「───!!?」

気が遠くなる

しかし、体にのしかかってきた重みが、私を現実に引き戻した

兵士は、気絶してしまったのだった。