*シルヴァ*

私に下された対処のなんと重いこと!

異常に広々とした処刑台に上がってから、その実感が急に襲って来た。

(本当にヤバイかも…)

吹き付ける風は冷たく、強い。

今日は快晴だった。

ナイフなんかがあれば、私を押さえつけている兵士と、相討ちの覚悟で暴れだすんだが、生憎武器は全て没収されている。

「これより、公開処刑を行う。」

バルベールの声が、静かな広場に降った。

それを合図に、両脇にいた兵士が私の上半身を木の台に押し付け、首筋に刃を押し付けた。

「バルベール様!!!」

目を覚ませと、ジェシカが叫ぶ。

命乞いの類ではない。

口先だけでは、決して言うことのできないそれに、胸が痛んだ。

(私…死ぬのか…。)

牢の中で、これが私の一生か…と何だか呑気に考えていたが、やっぱり違った。

然るべき時が来たら、いさぎよく死のうとは思う。

だけど、やっぱり今はその時ではない。

そういえば、死んだ家族の墓参りもろくにしていないし、仕事だって、恋だってしていない。

(えーい!ヒトの気まぐれで死んでたまるか!!)

兵士が、ゆっくりと剣を振り上げたのが見えた。

もう、考えている暇はない

腹筋と、足に力を込め、全身をしなやかなバネにする

びゅ。と爪先が空を切る

感じる、硬い鎧を巻き添えに、兵士の脇腹に食い込む確かな感触

まさか私が動くとは思ってなかったらしく、兵士はいとも簡単に尻もちを着いた