*シルヴァ*

翌朝、というより翌昼。

目を覚ますと、太陽は既に高く昇っていた。

結局私は、赤い月が西の空に消え去って行くのを見るまで、眠ることができなかった。

赤い月。

それは、まるで憎悪を持っているかのように確かな威圧感を纏っていた。

朝方に私はようやく寝つき、それから誰も起こしてくれなかったようで、

目を覚ますと、ソファにブラッドの姿はなかった。

下の階も静かだから、きっとイヴァも書斎に籠もって仕事をしているのだろう。

(あれ…何だったんだろ。)

何となく、嫌な予感がした。

素朴なナイトテーブルの上に、ブラッドが置いて行ったのであろうグレスト創世記を見つけて、思わず手を伸ばす。

それはあるページで開いたままになっており、それは予想通り昨晩の赤い月に関するものだった。