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布団を被って、果たして何時間経ったのだろう。

布団のなかは私の体温ですっかりサウナと化し、かなり息苦しくなってくる。

…なんか、馬鹿みたいだ。私。

何となくそう感じてしまって、

ブラッドが寝静まった気配を確認すると、私はそっと布団から顔を出した。

そして、

信じられないものを、見た。

「月が…。」

重なった雲の向こうから現れた青紫の闇。

その闇が僅かに裂けているようにも見えたが、それは確かに月だった。

鋭い金具で引っ掻いたように細々とした、血のように赤い月が、出ていた。