センソウ。

聞きなれず。しかし、良く知ったおぞましい響きに、イヴァは眉を寄せた。

「女王陛下。しかしながら、どうして急に…」

「イヴァ。それはあなたも良く知っているはずです。」

平生は穏やかに、花のように微笑む若き女王の顔と、声が、今日ばかりは暗く沈んでいた。

魔法を科学にとって変えて発展を続けた国々はごまんとあるが、

魔法都市ガーディアナのような、古代魔法都市は広いグレストの中でもほとんどない。

端的に言えば、珍しいから。

魔法産業を手に入れるため。

魔法を実験材料にするため。

領土拡大のため。

賠償金のため。

もしくは、発展が他国に遅れているから、科学技術の変わりに魔法が必要なため。

など。

理由は様々あれど、この小さな古代都市ガーディアナは、

常に周囲の国の侵略の視線にさらされていることを、確かに彼女は良く知っていた。

「どこの国です。」

「…アタキアナです。

先ほどある方が面会にいらして、武装したアタキアナの軍人がこの国に潜入しおり、襲撃を受けた、との報告を受けました。」

「ある方とは…」

「グレスト王国、国家警察「特別調査部隊」隊長。」

「…ブラッド、ですか。」

女王は、静かに頷いた。

「良いのですか、陛下。奴は有名ですが、かと言って突然現れた男の証言など…」

「確かに、当てにはなりません。」

「それなら、」

「イヴァ…私、貴女に黙っていたことがありました。」

嫌な予感が、した。