それから数時間────

「いつになったら着くんですかあぁぁっ!!!」

シルヴァは力の限り叫んだ。もう馬車の「旅」などと悠長なことを考える余裕もなくなっていた。

行けども行けども、見えるのは薄暗い森ばかり。

「…るせんだよ…何だってんだ。」

眠り込んでいたブラッドが不機嫌に声を上げる。

「何が後もう少しですか!着く気配すらないんですけど!!」

「…………」

「ブラッドさん!?」

「…寝りゃあ…すぐ着く………」

ぽっそりとそう呟き、ブラッドは再び夢の世界へと戻って行った。

シルヴァの胸に、ふつふつと怒りが沸き上がる。

こんな状況で寝れたら、最初から苦労はしない。

すやすやと眠るブラッドの穏やかな顔に、久々に殺意を覚えた。

(今すぐ天変地異でも起こってくれないかな……奴に。)

シルヴァが大きなため息を着いた、

…その時であった。