グレスト王国物語

「失礼ですが私はこちらですよ?」

そう言って子供が指差したのは、その手から身体に融合している赤い花だった。

「わけ分かんねぇな…その花が、今、俺と話してるってーのか。」

「はい、その通り。私の本体は、[その花]です。

しかし、ぴんと来なくとも仕方のないことです。高度に進化した科学は魔法と大差ないと言いますから。

要は、私達植物が持つ強い生命力を、従来のアンドロイドが持たなかった「生命」として応用し、より人間的な思想・意志を持った新しいタイプを作り出したということです。

私達はアンドロイドと似たようなものですが、生命エネルギーを有している点で圧倒的に異なっています。

私達は感情を持ち、思考する為より人間的なのです。」

「人間的って…お前何なんだ。」

「私は、ご覧の通り人工の肉体に繋がれた、少々思考する植物に過ぎません。

しかし、Hannaは違います。彼女は、完成体です。」

「Hannaだと?…あいつ、やはりアンドロイドじゃなく人間…だったのか。」

「いいえ。人間に限りなく近いですが、そう断言はできません。

私はこの光の外へは出られませんので、人工脳にプログラミングされている容量以上のことを考えたり、感じたりすることはできません。

ですがHannaは、完全な肉体と、プログラミングのリミットのない自由な思想を与えられました。彼女は、明らかに私達植物とは違います。

しかしながら、彼女は私達の声─植物達の声が聞こえます。

その点では、彼女は人間でもありません。」

少年は、Hannaが可愛そうだと続けた。

人間として作られたのに、人の悩める声ばかりではなく、植物が苦しむ声も聞こえてしまうのだから、と。