とはいえ、俺なんぞはまだまだ新参者であり、この外事四課の部署からも出た事はない。

本格的な犯罪捜査は、俺のデスクの前に座る先輩…六道直(りくどう なお)と、その他の外事四課のメンバーによって行われているようだ。

…肩までの長髪、切れ長の目、端正な顔立ち。

六道さんは、はっきり言って色男だ。

だが、ただ男前というだけではなく、その所作の一つ一つに隙がない。

警察官とも、軍人とも違う雰囲気を持っている。

強いて言うならば…工作員やスパイの類。

存在を悟られず、極秘裏に調査や尾行、諜報活動を行っていそうな、ある種怪しい雰囲気を醸し出している。

饒舌なようで、肝心な素性は俺にすらはっきりとは口にしない。

まだまだ素人の俺にさえ、六道さんは『本物』の匂いを感じさせていた。