あの悲劇……RPGゲームから、半年が過ぎた。


現在、10月。大学ではほとんどの生徒が内定をもらっている中、就職活動を諦めた拓馬は何も決まっていなかった。


多分、このままダラダラと卒業して、ニートになるだろう。今はその場しのぎで、ゲームの賞金の500万で何も考えず遊び呆けていた。


ゲームクリアと同時に、拓馬は一人暮らしを始めた。親にゴチャゴチャ言われないで済むなら、最高だ。それだけの理由で始めた一人暮らしは、案外面倒だった。


洗濯に掃除、飯の世話まで自分でしなければならない。オマケに、1LDKで家賃12万の高級マンションの10階。出費もハンパない。完璧に調子に乗った。


これなら、実家に居た方がマシだったかもしれない。


でも、今さらノコノコ帰るなんて、カッコ悪いマネはできねぇ。


もう、ゲームのことはすっかり忘れていた。


そんな、ある日のことだった。





夕方。拓馬はいつものように大学から帰ると、家のドアを開けた。


玄関には、見覚えのない紙切れが一枚、置かれていた。


「……ん?」


拓馬は眉をしかめながら手に取ると、その紙に書かれている文字を見た。


『拓馬。これより、二章が始まります。完全クリアを目指して、頑張ってください。』


その文字に、拓馬は青ざめた。


「何だよ、これ……何なんだよ……」


警戒しながら家の中へ入る拓馬。


紙切れがあったと言うことは、誰かが忍び込んでいる。


キッチン、部屋、風呂場、トイレ、ベランダをゆっくり覗き込む。


しかし、誰もいない。


「くそっ……」


やらない。俺は、もうやらねぇぞ、あんなクソゲーム。