ため息混じりに言った後、柊くんはわしゃわしゃと後頭部をかいた。

「兄貴のヤツ、店の前で待ってるって言ったのにいねーんだから」

大げさにため息をつきながら、柊くんはキョロキョロと首を動かした。

「お兄さんって、ここで何やってるの?」

あたしが聞くと、
「DJ」

首を動かしながら柊くんが答えた。

ふーん、DJか。

物好きなもんね。

なんて思った時、
「あっ…」

動かしていた首を止め、柊くんが短い声をあげた。

どうしたんだろ?

柊くんはある一点を見つめたまま、動かないでいる。

その視線の先に、視線を向ける。