私はパッと目を逸らした。
ずっと目が合っていたことに今更気づく自分が居て。
「改めて紹介しますわね♪
こちら、娘の穂乃歌です♪」
ニコニコと機嫌よさそうに喋る母。
『初めまして。
今日は…よろしくお願いいたします。』
軽くお辞儀をすると、それだけ言って私は少しだけ視線を落とした。
視線を上げると、合いそうで怖かったんだ。
和哉君との、視線が。
「こちらこそよろしくお願いします。
こちら、息子の龍です。」
上品に涼しい笑顔で話す和哉君のお母さん。
「空海 龍です。初めまして。
今日はよろしくお願いします。」
名前と、声が重ならない。
視線を落としているため今和哉君が…
龍…さんがどんな顔をしているのか分からないけど。
声と、その名前が、一致しないんだ。

