「俺は行ってほしくないんだけど。」
『……ありがとう。』
聞きたかった、その言葉。
でも、その言葉と耳に入る声が一致してくれない…
「つーか、支葵は穂乃歌に何か言ったわけ?」
『…うん。』
ズキン、と痛んだのは、私の心。
何も、言ってくれなかった…
「何やってんだよアイツも…。
俺は好きな女に見合いなんてしてほしくない。
俺が言ってどうなるわけじゃないかもしれないけど。
それでも俺は、見知らぬ男の許へなんか行ってほしくない。」
『…ありがとう……。
できるなら、ここにいつまでもいたいよ。
でもね、もう私自身が決めてしまったから…。
一度決めたことを曲げるなんて、そんなの私らしくないから。
私は、私でありたいの。』
俊の言葉が、素直に胸に届く。
嬉しいはずなのに、こみ上げて来るこの感情は、少し切なかった。
私は前を向き直し、車へと足を運んだ。

