狼執事とお嬢様♡



「俺は行ってほしくないんだけど。」

『……ありがとう。』




聞きたかった、その言葉。


でも、その言葉と耳に入る声が一致してくれない…




「つーか、支葵は穂乃歌に何か言ったわけ?」

『…うん。』



ズキン、と痛んだのは、私の心。




何も、言ってくれなかった…





「何やってんだよアイツも…。

俺は好きな女に見合いなんてしてほしくない。
俺が言ってどうなるわけじゃないかもしれないけど。


それでも俺は、見知らぬ男の許へなんか行ってほしくない。」




『…ありがとう……。
できるなら、ここにいつまでもいたいよ。

でもね、もう私自身が決めてしまったから…。


一度決めたことを曲げるなんて、そんなの私らしくないから。



私は、私でありたいの。』






俊の言葉が、素直に胸に届く。


嬉しいはずなのに、こみ上げて来るこの感情は、少し切なかった。






私は前を向き直し、車へと足を運んだ。