『ハァ、ハァ……』
私は少し整ったとはいえ、まだなお苦しい息に肩を上下に揺らす。
遠くにいる和哉君からは視線は外さずに。
「穂乃歌?」
再度呼ばれた名前。
名前を呼んだから、それは当然の応答で。
私はゆっくりを足を進めた。
その徐々に進む足を、私の息が、だんだんと比例していく。
私の意気が整うと同時に和也君の元へ付く。
「…なんか、久しぶりだな?」
『なんか、ね。』
小さく笑った私。
それに応えるように和也君も小さく笑った。
「どうしたんだよ?」
『え?』
「俺のこと、呼んだろ?
何か用?」
『あッ…うん!』
私は右手に握り締めたままの紙袋から昨日作ったカップケーキを包んだものを取り出す。
それを、和也君へと差し出した。
『コレッ!バレンタインだから作ったの♪』
私はニコッと微笑んで見せた。
和哉君は、それをそっと受け取った。

