走ると、冷たい風はさらに冷たく感じられて。
それでもそんなものお構いなしに風を切って走る。
少し遠めに、ベンチが見えた。
あとすこし。
そんなところでどんどんと息の上がって行く私。
あと数十メートル。
私の足が止まる。
…よく頑張った、私。
力尽きてしまいました…
虚しいですねー…
大きく肩を揺らして呼吸を整える。
少しだけ息が整うと、次に私は大きく息を吸った。
『和哉君!』
私の声だけが、この場の空気を支配した。
サァッと、風が木を揺らす。
私の声に応えたかのように。
和哉君は、落としていた視線を左方向に立つ私へと向けた。
「穂乃歌…?」

