『それから、家にも持っていってあげて?
70個しかないから…
今日此処に来てくれたメイドさんと、お母様。
それから前に私がお世話になっていた方にあげて?』
本当は屋敷にいる皆にあげたいところだけれど…
100以上ナイですから、ね?
「はい!皆喜ぶと思います!
あとはメイドに片付けさせますね♪
お嬢様、今日はお疲れ様です。
私は仕事があるので失礼させていただきますが…
今日は、お嬢様との思い出がまた1つ増えて私は幸せです♪」
『私こそ、ありがとう♪』
私は少しだけ微笑んで見せた。
そんな私に蘭さんは、「いいえ」と少しだけ首を横に振った。
「私はお嬢様のご生前から凛城家に勤めていました。
もう、20年近くなるでしょうか…
この仕事に何の楽しみも味わえなかった私に、色を与えてくれたのはお嬢様なのですよ♪」
蘭さんの言っている意味がよく理解できずに、え?と問う。
蘭さんは、「私は…」とだけ述べると、
途中で喋るのをやめた。
かと思うと、別の話をしだした。
「あの3人にお伝えください。
お嬢様を悲しませるようなことをするのであれば、私が許さない…と。」
いつもニコニコしている蘭さんの、この真剣な表情にいつも私は負けてしまう。
昔からそうだった。
『分かったわ…
今日はありがとう。』
「いえ、私こそ…楽しかったです♪」
自分を繕って、こんな大切な人までもを騙している事に、少しだけ胸がチクンと痛んだ。
「ではお嬢様♪
次にお会いするときまで、お元気で♪」
『えぇ、蘭さんも…♪』
玄関のドアが閉まる音が、少しだけ寂しそうに私の心の中に響いた。

