そうこうしている間に、
先程の場所に到着した。
用が終わり2人を床に転が
すと男はまた雑誌に目を
通し始めた。
その雑誌を見るや否や、
弥嘉は大声で叫んだ。
「あのっ!!もしやそれは
ーNUMBERーという雑誌では
ありませんか?」
「――そうだけど?」
「あの、齊里みつきさん
主演のドラマでその相手
役をつとめている俳優の
特集が組まれたのは10月
号でしたっけ?」
「一々覚えてないよ」
「す、すみません」
「…………………おい」
男が再び雑誌に目を戻そ
うとすると先程とは一変
して、彼女は小さな悲鳴
を上げた。
「――今度は何?」
「裏表紙の飛行機で思い
出したのですが、来週に
“アライブ”が地上波で
放送されるそうですよ?
確か、お笑い1時間SPの後
だった気が……」
「え!?そうだったっけ?
じゃあ、絶対見なきゃ」
「………おいっ………」
2回の静かな呼びかけにも
構わずに、弥嘉はさらに
話を続けていた。
「私、その映画の主役を
務める“龍”の大ファン
なのですが、他に記事は
ないでしょうかね?」
「見開き5ページもあれば
充分じゃない?」
「そ……そうですよね」
「――!!!!!!おいっ!!」
弥嘉の度重なる話し声に
苛つきを覚えた別の男が
遂に立ち上がった。


