†Dragon Guardian†


それを耳に入れるなり、
壱加は反射的に音のする
方向へと顔を向けた。

すると複雑そうな表情を
した弥嘉が佇んでいた。

彼女は壱加に気が付くと
すぐに笑みを浮かべて、
「お待たせしました」と
言いドアから出てきた。


『コイツも、さっきの話
を聞いたんだろうな』


ほんの僅かな表情の変化
を見ながら、無意識的に
壱加はそう感じていた。




     ***




2人は再び先程の場所まで
俵担ぎで連行された。

ご丁寧にも2人の手足には
縄が結び直されている。


「結び直すことねぇのに
嫌みな野郎だな!!」

「仕方がありませんよ。
もし今下手に抵抗すると
何をされるか分からない
ですからね」


壱加の止まることを知ら
ない苛立ちに苦笑しつつ
弥嘉はそう呟いていた。




「やっぱ知り合いだろ」


暫く沈黙を維持していた
男が再度口を開いた。


「先程違うと申し上げた
はずですよ?まあ強いて
言うならば“売り物同士
に芽生えた友情”という
ものでしょうかね?」


弥嘉が悪びれもなく答え
ると男2人は唖然とした。

その後我に返った男は、
遂に「もういい」と言い
匙をかなぐり捨てた。




『やっぱりコイツはただ
の馬鹿かもしれねぇな』




壱加は失礼を承知の上、
またもや心の中で弥嘉を
馬鹿呼ばわりしていた。