†Dragon Guardian†


それから暫くすると男は
突然2人を床に下ろした。


「あそこだ」


男は小さなドアを指差し
ながら一言そう言った。


「あの……大変申し上げ
にくいのですけれども、
一旦この縄を外して頂い
て宜しいでしょうか?」


弥嘉は、困惑した表情で
男を見上げつつ言った。

それを耳にした男は大層
顔を歪めながら彼女らを
一瞥した。


「世話のかかる奴だな」


そう言いながらも、男は
床にしゃがみ丁寧に2人の
縄を解いていった。




     ***




弥嘉がお手洗いに行って
いる頃男と壱加はドアの
前に並んで立っていた。

その間、壱加の耳に別の
男達の話し声が届いた。




「それにしても、何で俺
達が国家に追われなきゃ
ならんのだ!?あれだって
似たようなことしてるら
しいじゃねぇか!!理不尽
な話だと思わねえか!?」

「全くだなっ!!秘密裏に
ドラゴンを誘拐して外に
売っ払ってるらしいな」

「結局自分達だけが儲か
りたいもんだから、俺達
のような連中が心底目障
りなんだろうよ!!」

「言えてらぁ!!……それ
にしても、後1時間もここ
で船を待つなんざ本当に
面倒臭ぇ話だぜ」

「確かにな。だがさっき
送ったところだから仕方
がねぇって!!そう頻繁に
行き来してたら逆に怪し
まれるだろうが!!」

「それもそうか……変に
感づかれたらこれから先
何かとやりずれぇしな」




彼らの会話が途切れたと
同時に、ようやくドアの
開く音が聞こえてきた。