「……どういう事だ?」


壱加は訝しむような顔を
隠しもせずに尚も弥嘉を
問い詰めていた。


「任せてください」


弥嘉は穏やかにそう言い
ながらも有無を言わさぬ
視線を壱加に向けた。

それに気圧された壱加は
最早何も口にすることが
出来なかった。




     ***




倉庫の中では5人の男性が
好き勝手行動していた。

煙草を吸う人もいれば、
雑誌を読む人や談笑する
人など実に様々である。

しかしながら、この風景
にはどこか妙な緊張感が
漂っていた。

そのような微妙な空気の
中で、どこか間の抜けた
声が倉庫に響き渡った。


「あのぉ……お手洗いは
どちらにありますか?」


弥嘉は申し訳なさそうな
顔をしながらその男達に
お伺いをたてた。




『ば……馬鹿だ、究極の
馬鹿がいるっ!!なぁにが
“任せてください”だ!!
空気読まなさすぎるにも
限度があるだろうが!!』




壱加は心の中で、弥嘉の
奇行を目一杯罵倒した。