そうこうしている間に、
先程の電話で聞いたA班の
集合場所に到着した。
彼が扉を開けると、既に
長机が綺麗なコの字型に
並べられていた。
そこには一旦集められた
A班の面々が揃っている。
弥嘉たちが部屋に入ると
一斉に注目の的となる。
それに気後れした弥嘉で
あったが、ようやく気が
付いた三沢が彼女を快く
迎え入れた。
「わざわざ有難う。八方
塞がりだったから来てく
れてとても助かった!!」
そう言いながら、無骨な
手で弥嘉の手を握った。
「こちらこそ、私なんか
で宜しければ喜んで協力
させて頂きます」
突然の行動に些か驚いた
ものの、弥嘉はすぐさま
彼に微笑み返した。
***
「お前ら!!この子は新人
だが壱加の場所が分かる
唯一の人間だ!!耳かっぽ
じって彼女の言うことを
良く聞きやがれっ!!」
中年男性は責任者らしい
威厳溢れる声で叫んだ。
その後、弥嘉に向き直り穏やかな口調で訊ねた。
「お願い出来るかな?」
先刻の態度のギャップに
驚きつつも、その言葉に
弥嘉は大きく頷いた。


