「あの、小柄な彼女が!?
一体どうやって?」
中年男性は、未だに信じ
難いという声をあげた。
それに構うことなく彼は
「彼女に代わります」と
言い弥嘉に携帯を渡す。
弥嘉は思わず受け取った
ものの電話越しの相手に
萎縮しきっていた。
それを半ば呆れ顔で見て
いた男性に急かされて、
弥嘉は深呼吸をした後に
ようやく電話に出た。
「お電話代わりました、
石河 弥嘉と申します」
「あ、あぁ……私がA班の
三沢だ。それで、佐藤が
先程言ったことだが」
中年男性は何かを探るか
ように弥嘉に問うた。
すると弥嘉は徐々にだが
口を開いていった。
「ええ、あながち嘘では
ありません。うまく事が
運べば彼の居場所が特定
出来るかもしれません」
「一体どうやって!?」
矢継ぎ早の質問に驚いた
ものの、弥嘉は実に落ち
着いた表情で答えた。
「まだ未熟ですが“眼”
を所持しています」
それを聞くや否や、中年
男性は「君が?」と一言
漏らすだけであった。
一方、彼は今まで弥嘉が
とった奇妙な行動の訳に
薄々気付いていたのか、
「やはりそうか」と呟き
納得した様子だった。


