それを聞くと、紗奈恵は
凄い形相で睨みつけたが
腹部の痛みでその場から
一歩も動けなかった。
一方弥嘉は顔を強ばらせ
たまま、紗奈恵と少女を
交互に見るだけだった。
「最初から大人しくして
りゃ~いいのよ♪」
少女はそう言って足元を
一瞥すると対象者を連れ
嵐のように去っていく。
――学校の存在と生徒の
心に深い傷を残して――
***
弥嘉は家に帰るや否や、
今日あった出来事を父に
事細かく話した。
それを聞いた途端、男は
思わず顔をしかめた。
「そこまで酷いのか」
男の呟きだけが宙に飛び
散っていった。


