『早く、助けなくては』
弥嘉はそう思ったものの
先程された首締めと力の
発覚を恐れて、なかなか
立ち上がれなかった。
すると、彼女の目の前で
人影が通り過ぎていく。
「この子は大事なクラス
メートなので、その手を
離して貰えますかね?」
既に廃墟と化した教室に
凛とした声が響き渡る。
『……さなえちゃん?』
紗奈恵は2人に近づいて、
捕まった生徒を逃がそう
とするが、少女はそれを
頑なに拒み彼女の腹部を
思い切り蹴飛ばした。
それを受けた紗奈恵は、
ほんの一瞬だけ宙を舞い
その場に倒れこんだ。
「粋がったガキどもが!!
これ以上邪魔するなら、
“公務執行妨害”で牢屋
にぶち込むわよ?」
少女は、足元にいる彼女
達を冷ややかな目で見下
ろしながら叫んだ。


