その叫びに構うことなく
男は少女に教え諭した。
「あの少女が何者か分か
らない以上、特務機関の
我々が進んで法律を破る
ことは許されません」
「だけどっ!!」
少女が尚も言い募ろうと
した時、彼女の手の力が
一瞬だけ緩んだ。
その隙を突いて、弥嘉は
急いで首を引っ込めたが
勢い余って床に倒れた。
「胡蝶様、“疑わしきは
罰せず”……ですよ?」
男が穏やかな口調でそう
言うと、渋々だがようや
く少女は大人しくなる。
***
「それにしても、あれが
壊れたんじゃ奴らの存在
を特定出来ないわ!!」
そう言って少女は苦虫を
潰したような顔をした。
少女のその様子に苦笑し
つつ男は言葉を発する。
「あれでは近距離にいる
標的の有無が分かる程度
ですからね……GPS機能が
あれば便利なのですが」
「全くよ!!奴らは生まれ
つき、GPSを妨害する周波
を持ってるんでしょう!?
つくづく面倒臭いわ!!」
少女はそう言うなり再度
怒りを露わにし始めた。


