それを聞いた紗奈恵は、
不満げな顔を弥嘉に向け
ながら艶やかな赤い唇を
徐々に開いた。


「煮え切らない答えね。
私には言えないこと?」


すると弥嘉は顔色を変え
たが、やがて腹を括った
のか勢い良く答えた。




「実は、守護者になろう
かと思っているのです。
父曰く、情報集収をする
にはそこに守護者として
入学するのが一番の近道
らしくて……幸い今度の
学校はそれに関する教育
や資料が非常に充実して
いるそうなのです」




それを耳にした紗奈恵は
少し驚いた顔をしたが、
ようやく納得した様子を
見せていた。


「弥嘉が守護者を目指し
てるとは想像もしてなか
ったわ。けど、そこまで
決心している割には随分
暗い顔してるのね」

「はい……急に転校まで
話がいくと思わなかった
ので正直今も不安です」


弥嘉がそう言いつつ頭を
垂れていると、紗奈恵は
彼女の頭に手を乗せた後
髪を撫で始めた。