その視線を重苦しく感じ
弥嘉は思わず呟いた。


「………ごめんなさい」

「別に謝ってほしいわけ
じゃないわよ」


紗奈恵はそれに気が付い
たのか、右手に顎を乗せ
たまま不満げにそっぽを
向いた。




沈黙する雰囲気に耐えか
ねた弥嘉は、意を決して
徐に口を開いた。


「お話を聞いて貰っても
宜しいでしょうか?」

「何よ、今更改まって」


紗奈恵はようやく弥嘉に
向き直り顔を綻ばせた。

その顔を見て弥嘉は胸を
撫で下ろしつつ、彼女を
見据えて口を開いた。




「実は私、どうやら近々
転校しなければならない
らしいのです……」




「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」


紗奈恵の無遠慮な大声と
椅子の倒れる音が教室の
全体に響き渡った。