†Dragon Guardian†


「だから逃げるのです」

「………………へっ?」


いきなりすぎる話題転換
についていけず都はふと
間抜けな声をあげた。

一方綾瀬は、言葉の節々
に自身の確固たる決意を
含ませていった。


「国家の上層部の殆どは
先程の考えに賛同してい
るため、まともに相手を
しようものならば確実に
あなたは死に至ります。
悔しいかもしれませんが
彼らから逃れることが今
出来る最善の策です」


この意見が至極当然だと
頭では理解しながらも、
都は未だ不安で揺れ動く
視線を彼に向けた。


「――大丈夫です。私も
やれるだけのことはやり
ますし何よりこちらには
国家の中枢を担う外交省
長官の力もございます。
無事最後まで生き延びて
彼らの野望をくい止めて
やりましょう」

「……はっ、はい!!」


心強い後押しを受けて、
都は先刻よりも僅かに明
るく答えると次第に笑み
を浮かべていった。




ようやく都の涙が乾きか
けた頃、運転席から突如
静寂を切り裂くかの如く
単調な音が響き渡った。




ピリリリリ、ピリリリリ




「ちょっと失礼します」


そう言って、彼は左手を
ハンドルから離すと背広
の内ポケットから急いで
携帯を取り出した。


「ああ、私だ」

「……が……まし……」

「――分かった。終わり
次第そちらに向かう」


思わしくない彼の口振り
を耳にしながらも、事の
真相を確かめようと都は
前方に身を乗り出した。

すると、綾瀬は徐に携帯
をしまい目を伏せたまま
ぽつりと呟いた。




「……つい先程、長官が
息を引き取られました」




「――――!!!!!?????」


あまりにも早急且つ酷な
発言に、都はほんの一瞬
思い切り目を剥いだ。

しかしながら、それ以降
口を閉ざした綾瀬を見る
うちに段々実感が湧いて
きたのか、都は席に戻る
なり力無くうなだれた。