†Dragon Guardian†


あまりにも身勝手な思惑
を耳にしてすっかり憔悴
しきった都に、綾瀬は更
なる追い打ちをかけた。


「これは、双方にとって
後ろ暗い事ですからなる
べく公にしたくないのが
本音です。その際使われ
るであろう道が俗に言う
裏ルートと呼ばれるもの
です。ちなみにこれは、
元々彼女の送還に利用さ
れる予定でした」

「……裏ルート?」


今にも泣き出しそうな顔
をしつつも、都はやっと
のことで声を絞り出す。

すると彼は一呼吸おいて
ゆっくりと話し始めた。


「――正規のものとは異
なり、目的地までの距離
は短いのですがかなりの
危険が伴います。ですが
公的手続きがなされない
ために国家の責任は一切
問われません」

「それって……」




「つまりあなたは隣国の
国民を落ち着かせるため
だけに、彼女の身代わり
に命を落とすことを隣国
はおろか自国からも望ま
れているのですよ」




その発言を受けて、一瞬
視界が歪んだものの都は
何とか自身を奮い立たせ
僅かな望みにかけた。


「で……でもウチは何も
関係してませんよ?そん
なんこっちの国家は黙っ
てないでしょう!?」


しかしながら、綾瀬の口
からは都の予想を超える
残酷な言葉が続いた。


「――大変申し上げにく
いのですが国家にとって
隣国は最大の貿易相手で
もあります。そのため、
あちらの申し出をむげに
断ることが出来ません。
それに、万が一こちらで
同じようなことが起きた
場合の協力確保を今から
しておこうという意図も
見え隠れしていますね」

「………………………」


絶望感と悔しさで、再び
押し黙った都は握り拳を
固く結ぶと人知れず歯を
食いしばった。


「さらに言うと、隣国は
お尋ね者の存在が国民の
意識から消えてくれれば
たとえ相手が本人でなく
とも構わないとさえ思っ
ている節がありますね。
その証拠が先程の追跡と
連日に渡った電話です」


彼がそこまで言い終わら
ないうちに、都の目から
止めどなく涙が溢れた。