†Dragon Guardian†


やがてスピードが軌道に
乗ると、都は徐にベルト
を締めて呼吸を整えた。


「さ……さっきので内臓
とか色んなもんが口から
出るかと思ったわぁ~」

「万が一の場合はきちん
とご自分で処理なさって
くださいね。一応、この
車は今後も来賓用として
使う予定ですから」

「――鬼か自分は。けど
ほんまおおきに」


相変わらず容赦ない言葉
を浴びせられるも、都は
その中に隠された彼なり
の配慮を悟り素直に感謝
の意を述べた。

すると綾瀬はばつが悪そ
うに頭を掻いた後、運転
に集中するべく再び無言
を決め込んだ。

その時、彼の耳が仄かに
赤色に染まっていること
を見逃さなかった都は、
一人隠れて微笑んだ。




     ***




暗闇に覆われた空に日の
光が差し込んでくると、
道路の周りを囲む外灯は
その役割を終えて静かに
眠りについていった。

人目に付きにくい地道を
走行しながらも、確実に
交通量が増えた今では、
彼女達を乗せた黒光りの
車は些か異様な雰囲気を
醸し出す羽目になった。




そのような中、綾瀬は窓
に寄りかかってまどろむ
都に小声で話しかけた。


「――どうやら、うまい
こと撒けたようです」

「えっ!?何でですか!?」


先程までとは一変して、
都は思い切り両眼を見開
くなり、反射的に上体を
前に起こした。


「例のシールが貼られて
いる車は、県境毎に通行
審査を受けねばならない
のですよ。これで当分は
追ってこられません」


どこか確信めいた綾瀬の
発言を聞くや否や、都の
目の端に些か奇妙な残像
が映し出された。


「……あれやろか?その
シールが貼られてる車が
ちっちゃい家みたいな所
の前に、これまたぎょ~
さん並んではるわ」

「ええ。外国からの不用
意な侵入を防ぐ、我が国
なりの知恵ですね」

「へえ、そうなんや」


それを聞いて、ようやく
安心したのか都は曖昧に
頷くとまもなく夢の世界
へと旅立っていった。