†Dragon Guardian†


異様なまでの都の追求に
若干たじろぎながらも、
綾瀬はぽつりと呟いた。


「身代わり、ですよ」

「み……身代わり?」


馴染みのない単語をいた
ずらに復唱しつつ、都は
思わず首を傾げた。


「はい。会議が滞りなく
行われたということは、
少なくとも柏木様が例の
お尋ね者ではないという
事実が隣国にも伝わって
いるはずです。それにも
かかわらずこの有り様は
ただ事ではありません」


彼はそう言うと、ほんの
一瞬だけ後ろを振り返り
すぐ横を走る白い外車の
方向へ顎をしゃくった。

それを合図に、都が恐る
恐る車を眺めると不意に
ある物が目に飛び込む。


「あ……あれは?」

「外国の方が運転する際
窓に貼ることを義務づけ
られているシールです。
このタイミングで我々の
速度に合わせてきている
となると、十中八九隣国
の者であると考えるのが
妥当でしょうね」

「……いつの間につけら
れてたんやろか?」


隣国の執拗さと事の重大
さを目の当たりにして、
都は恐怖のあまり僅かに
声を震わせていた。


「――少しとばします」


すると、早々に都の異変
を察知した彼が思い切り
アクセルを踏みつけた。


「ぷぎゃぁぁぁぁぁ!!」


その途端、シートベルト
の制御がなされていない
都の体は勢い良く前方に
つんのめった。

それとほぼ同時にあまり
にも情けない悲鳴が車内
にこだました。