†Dragon Guardian†


一気に暗くなった雰囲気
を慌てて払うかの如く、
都はわざとおどけた口調
で話を続けた。


「お守りって……ウチは
どこぞの国の姫さんとは
違うてただの庶民やで?
ちょっと大袈裟やわぁ」


そう言って都は楽しげに
笑うものの、綾瀬の表情
は先程にも増して強張っ
ていく一方であった。

またもや車内に沈黙が訪
れるものの、暫くすると
何やら決心を固めた彼が
バックミラーに映る都を
真正面に見据えた。


「――隣国の一部の者に
あなたが外交省内にいる
ことを知られました」

「………………えっ!?」


不意に紡ぎ出されたあま
りに残酷すぎる発言は、
否応なしに都から思考力
と声を奪っていった。

その様子を横目に入れな
がらも、綾瀬は構うこと
なく言葉を続けた。


「幸いなことに、長官が
事前にその情報を掴んで
色々手回しなさってくれ
たので、大事には至って
おりませんが決して良い
状況とは言えません」

「ちょ、ちょお待……」

「本日、急遽荷物をまと
めて車に乗って頂いたり
手紙を書いて頂いたのも
そのためです。もう一刻
の猶予も許されません」

「そ……そんなぁ」


次々に飛び交う衝撃的な
事実の数々を前にして、
都はただうなだれること
しか出来なかった。




彼女達を乗せた車がよう
やく外灯の連なる道路に
差し掛かった頃、綾瀬は
ふと窓の外を眺めるなり
大きく溜め息をついた。


「それにしても、会議が
終わったというのに向こ
うがこれ程までに執拗に
追跡してくるとなると、
ある可能性を考えざるを
得ませんね」

「――な、何やそれっ!?
どういうことやねん!!」


実に意味深な呟きを耳に
した途端、都は思い切り
顔を上げて問い質した。