端から都の反応が想定内
だったのか、綾瀬は特に
驚きもせず言い募った。
「つまり、隣国としては
何が何でも捕らえておき
たい方でもあります」
「じゃあ、今もその人と
ウチが間違われてるっち
ゅうことは……」
「隣国はあらゆる手段を
駆使してでも、あなたを
探し出して連れ帰ろうと
するでしょうね」
「あ、あんまりやわ!!」
今までの話の流れで薄々
感じていた最悪の筋書き
を改めて突きつけられ、
都は思わず頭を抱え込む
羽目になった。
「その誤解を正式に解く
ために、長官は本日行わ
れた隣国との双国間会議
に出席されたのです」
「なるほど……でも会議
って、こんなに遅うまで
やるもんなんですか?」
都はそう言うと、徐に体
を傾け運転席近くにある
デジタル時計を見た。
その時既に深夜0時を回っ
ており、一旦窓の外に目
を向けると人や車の気配
はおろか明かり1つすらも
見当たらなかった。
そのような中、彼は都が
いる後部座席からも表情
が推測出来るほど非常に
重々しく言葉を紡いだ。
「――実は、それが終わ
った途端に突然倒れられ
たらしく今は近くの病院
にいらっしゃいます」
「びびびび……病院!?」
再び度肝を抜かれた都は
これでもかというくらい
目を見開きながら不意に
声をどもらせた。
「はい。今からちょうど
2時間前に長官から呼ばれ
まして、すぐに外交省に
向かい柏木様をお守りす
るよう言付かりました」
寂寥感さえも窺えるその
発言は、ゆっくりと車内
の闇に溶け込んだ。


