†Dragon Guardian†


「お……終わりました」


やっとのことで荷造りを
終えると、都は鞄を携え
恐る恐る歩み寄った。


「では、参りましょう」


都の言葉を耳にすると、
綾瀬は待っていましたと
言わんばかりに静かに扉
を開けて薄暗い廊下へと
導いていった。




些か不自然すぎる人気の
なさと視界の悪さに怯え
つつも、都は黙って綾瀬
の背中を追いかけた。

すると、先を歩いていた
彼が何の前触れもなしに
ある所で立ち止まった。

その拍子に鼻をぶつけた
都は恨みのこもった目を
向けたが、一方の綾瀬は
さして気にすることなく
ゆっくりと振り返るなり
「お手紙を」と一言述べ
るだけであった。

突然の申し出に戸惑いを
隠せなかったものの都は
素直に封筒を手渡すと、
彼はすぐ近くに置かれた
小箱にそれを入れた。


「これで、あと3日以内に
自宅に届くはずですよ」


綾瀬はそう言うや否や、
実に穏やかな表情で都に
微笑みかけた。




     ***




ようやく車に乗り込むと
都は痺れを切らしたのか
運転席の綾瀬に向かって
矢継ぎ早に話しかけた。


「なあなあ、綾瀬さん。
もういい加減話してくれ
てもええんちゃう?ここ
車の中やで、な?な?」


あまりの急かし様に苦笑
しながらも、綾瀬は次第
に口を開いていった。


「そうですね……何から
お話しましょうか?」

「じゃあ、手近なとこで
今長官さんはどこに居る
んですか?いつまで経っ
ても帰ってきいひんから
流石に心配なんですよ」


何気ない都の呟きにより
ほんの一瞬車内に沈黙が
訪れたが、すぐさま彼は
懸命に言葉を紡いだ。


「――いきなり、核心を
突かれる質問ですね」

「………………えっ!?」


重々しく発せられたその
意味を充分に理解出来ず
にいた都は、結局頭の上
に幾つもの疑問符を浮か
べることになった。