†Dragon Guardian†


都の粘り勝ちにより些か
奇妙な同居生活は、それ
からさらに約5か月間延長
されることになった。

この頃から、静寂を保つ
外交省付近を夜桜のライ
トアップが華麗に彩り、
頬を撫でる風の温かさと
相まって確実に春の訪れ
を感じさせた。




そのような中、いつもと
同じように一人で女性の
帰りを待っていた都は、
何気なく壁に掛けられた
時計を見やった。


『今日は遅いなぁ……』


都はぼんやりとそう考え
ながら、まっさらな黄色
の便箋にさも気だるそう
にペンを走らせた。


『一応書いてはみたけど
“軽い手紙”っちゅうて
ええんやろか、これ?』


そうして都が今し方書き
終えた手紙と暫しにらめ
っこをしていると、普段
滅多に開かれない扉から
突如音が響いてきた。




コンコン




「こちらに、柏木都様は
いらっしゃいますか?」


その瞬間、以前女性から
無理矢理聞き出した話が
頭をよぎった都は、警戒
心をむき出しにしつつ扉
越しからいつもより数段
低いトーンで返答した。


「――どちらさんで?」

「申し遅れました、綾瀬
です。長官の命を受けて
お迎えに上がりました」

「む……………迎え?」

「はい。今すぐに必要な
荷物だけをまとめて私の
車に乗ってください」


聞き覚えのある名に若干
安心したもののあまりに
急な提案であったため、
都は柄にもなく慌てふた
めいた。


「ええっ!?ちょっ……」

「ここで話し込んでいる
時間はありません。事情
は車内で説明致します」


それにもかかわらず彼は
自分のペースを崩すこと
なく実に淡々とそう述べ
ると、都の了承も得ない
まま徐に扉を開いた。