こうして、隣国首相との
壮絶な駆け引きが一旦は
落ち着いたものの、その
日を境にしてさも仕返し
とばかりに、幾度となく
長官室に電話が鳴り続け
るようになった。
あまりにも執拗な抗議の
対応に日々追われてきた
ため、今までの疲労も相
まってか女性は遂に床に
伏せる羽目になった。
この時、都が誘拐されて
から既に2年の月日が流れ
窓の外からは、今や葉を
根元に散らせた殺風景な
木々に霜が降りているの
が見受けられた。
そのような中、都は心配
そうな表情を向けながら
女性に布団をかぶせた。
「大丈夫ですか?病院に
行ったほうが……」
「平気よ。きちんと薬も
もらっているから大分楽
になったわ……それより
都ちゃんに話しておきた
いことがあるの」
女性はそう言って、都を
真正面に見据えるとゆっ
くり上体を持ち上げた。
「な、何です?」
「あなたのご両親に帰宅
の旨を知らせる手紙を今
すぐ書いてちょうだい。
それが終わったら、私が
判をつくから」
彼女の口から突如予想外
の言葉が飛び出してきた
ため、驚きのあまり都は
思わずソファーの方へと
身を乗り出した。
「ちょっ、それどういう
ことなんです!?」
「あと検閲の恐れがある
から、内容はわざとふざ
けたものにしてね?」
「だからっ!!何で自分は
そういう事言うんや!?」
必死の問いかけをいとも
容易くうやむやにしよう
とするその発言を聞くや
否や、都は敬語を使うの
も忘れて女性に食ってか
かっていった。


