一言で同居と言えども、
女性が重役且つ根っから
の仕事人間で滅多に家に
帰らないことと都の存在
を周囲に知らせないよう
にする配慮が相まって、
結局のところ2人は窮屈な
がらも長官室で寝泊まり
することになった。
しかしながら、彼女らは
その中でも非常に慎まし
やかな生活を営んだ。
また、女性が病魔と闘い
ながら日夜マーリン氏の
捜索に奔走する一方で、
都はそのような彼女を陰
ながら支え続けた。そう
して2人は年齢を越えた絆
を徐々に深めていった。
このように、暫しの間は
実に穏やかな時が流れた
もののそれも長くは続か
なかった。
ある麗らかな昼下がりの
こと。普段は静寂を保つ
長官室に突如一本の電話
が鳴り響いた。
「少し席を外すわね」
女性はそう言い残すと、
静かに受話器を上げた。
「お電話代わりました」
「……………It's me.」
(……………私だ)
威圧感さえ窺えるその声
を耳にした途端、女性は
顔を歪めたがすぐに気を
取り直して話を続けた。
「Oh, Prime minister. Somehow I'm silent.」
(あら首相、どうもご無
沙汰しておりますわ)
「What on earth happens to the certain matter? A contact of remand has not reached here.」
(例の件は一体どうなっ
ているんだ?こちら側に
送還の連絡が届いていな
いようなのだがね)
電話越しから微かに聞こ
えてくる異国の言葉に、
都は無意識に寒気を覚え
てならなかった。


