早速中に入るとそこには
都の想像を絶する空間が
広がっていた。
木目調に統一された部屋
の奥には肘掛けが付いた
黒革の椅子と、手入れが
行き届いた艶のある机が
悠然と構えていた。
また、手前側には3人掛け
の革のソファーが向かい
合わせに二脚置かれその
間には細工が至る所に施
されたガラスのテーブル
が優雅に鎮座している。
それに華をそえるかのよ
うに窓に掛けられた深紅
のカーテンは、何人たり
とも侵すことの出来ない
高貴な雰囲気を存分に醸
し出していた。
その光景を直に目の当た
りにした都は、思わず身
を竦ませていた。
「あのぉ……ここは一体
どういう所なんです?」
すると、女性は都の緊張
を和らげるかの如く徐に
言葉を紡いでいった。
「ここは外交省の長官室
なの。殆ど人の出入りが
ないから、気兼ねなく話
をしてくれて大丈夫よ」
「が……外交省?」
「そうね、簡単に言うと
外国とのやり取りを司る
機関ってところかしら。
条約や人々の送還が主に
それに該当するわね」
女性のその言葉を聞くや
否や、都は思い切り身を
乗り出した。
「じゃあ、ここってまだ
国内だったりします?」
「ええ、かろうじて」
「よっ……良かった~」
穏やかな笑顔と共にもた
らされた事実に都は胸を
そっと撫で下ろした。


