†Dragon Guardian†


居たたまれない雰囲気が
漂うものの、徹は徐々に
口を開いていった。


「さて、そろそろ弥嘉が
見たであろう事実を話そ
うか……もともとそれが
目的だったのだろう?」


突然の話題転換に戸惑い
ながらも、壱加はそれを
聞いたと同時に涙を拭き
ゆっくりと顔を上げた。


「確か、3年程前だったと
思う。当時守特構は秘密
裏に学生デモの指導者で
あるため隣国を追われた
エリス・マーリンの保護
にあたっていた。その間
何故かその情報が国家側
に漏れて、早急に彼女を
隣国に送還せよとの勅令
が出された。しかし守特
構側は、頑としてそれを
受け入れなかった」

「何でそこまで守特構が
ソイツを守るんだ!?」


当然考えられるであろう
疑問をぶつけた壱加に、
徹は徐に言葉を紡いだ。


「彼女自身がドラゴンで
あるというのもそうだが
隣国の竜族保護協会会長
の孫娘というのが、一番
の大きな理由だろうな。
名目上でも“ドラゴンを
保護する機関”としては
関係を良好にしておいて
損はないからな……」


それを耳にした壱加は、
ようやく納得した表情を
見せた。


「話を続けるが、それに
業を煮やした国家は特務
機関に彼女の捜索を要請
した。その過程で、どう
やら都ちゃんが巻き込ま
れてしまったらしい」

「弥嘉の……ダチぃ!?」


前後の繋がりが全く見え
ないため、彼は思い切り
怪訝な顔をした。


「写真で見る限りでは、
彼女と都ちゃんは容姿が
非常に似ている。恐らく
国家側は誤って都ちゃん
を送還したのだろうな」


そう話しながら、徐々に
徹は俯き加減になった。

それを静観してこの言葉
の重みが次第に現実味を
帯びてきたのか、思わず
壱加は目を伏せた。