†Dragon Guardian†


すると突然、徹が周りに
掻き消されそうな小さな
声でぽつりと呟いた。


「あの子には、一人前の
守護者になってもらいた
いんだ……これくらいの
困難は乗り越えて欲しい
ところなのだがな」

「――それだけのために
あんなになるまで追いつ
めたのか!?てめぇはそれ
でもアイツの親かよ!?」


されるがままの徹に余計
苛立ちが募った壱加は、
益々両手に力が入った。

若干苦しそうに顔を歪め
るものの、徹は実に淡々
と言葉を続けていく。


「かつての夢をもう一度
見せて欲しいんだよ……
生憎私には、その才能が
なかったらしいからな」


どこか遠くの方を見やり
ながら語られた言葉を耳
にした途端、壱加の中で
何かが弾け飛んでいく。


「てめぇ……いい加減に
しろよな!!弥嘉の人生は
弥嘉のもんだろうがっ!!
勝手に親のエゴを押し付
けてアイツの未来を踏み
にじるなよ!!子供は親の
コピーでもなければ第二
の人生を歩むための便利
な道具でもねぇんだぞ!?
何でアイツの好きにさせ
てやらねぇんだ?」


怒涛のような叫びが終わ
る頃には、いつの間にか
壱加から嗚咽が漏れた。

一方、徹は先程の壱加の
言葉を噛み締めながらも
黙ってその様子を見つめ
ているだけであった。