†Dragon Guardian†


徹がどこか緊迫した空気
を放つため、親子の間に
暫し沈黙が流れた。

しかし次第にそれを解い
ていった徹は、徐に話を
切り出した。


「お願い、とは?」


それを聞いた弥嘉は一度
深呼吸をした後、改めて
言葉を紡いでいった。


「都ちゃんの手掛かりを
掴むために、お父様のID
カードと家にある資料を
送って頂きたいのです。
また、承諾書が必要らし
いので電話が終わった後
にでもFAXで送りますから
そちらもお願いします」

「遂に行くのか」

「……ご存知でしたか」


何もかも見透かしたかの
ような父親の物言いに、
弥嘉は苦笑を漏らした。


「承諾書はすぐに送れる
のだが、今の時期は何か
と仕事が立て込んでいる
から、資料とIDカードを
渡せるのが早くてもあと
1ヶ月はかかる。それでも
良ければ送るが?」

「大丈夫です」


徹が言い終わるのとほぼ
同時に、弥嘉は短いなが
らもハッキリと答えた。




用件が済んだとばかりに
弥嘉は電源ボタンを押そ
うとしていた。

すると、電話から微かに
徹の声が聞こえてきた。


「――――弥嘉」

「はい、何ですか?」




「たとえ、どんな現実が
待ちうけていようと最後
まで自分を見失うなよ」




「は……はあ」


彼の真意が分からぬまま
弥嘉は曖昧に頷いた。