「目的……ですか?」
弥嘉は、男の意図が汲み
取れずに思わず呟いた。
「そうだ。ちなみにドラ
ゴンは昔から“大地”を
司ると言われているが、
これは知っているか?」
「はい。彼らはその名の
通り、渇いた大地を潤し
あらゆる穢れを取り除く
役割なのですよね?」
弥嘉は以前学校で習った
知識を頼りにして懸命に
答えた。
「……やはり、今の中等
教育は進んでいるな」
男はそう呟きながらも、
さらに娘に言い募った。
「この国の大半が工業化
している今、何の支障も
なく生活出来るのは常に
彼らが大地を癒やしてく
れているからだ。これが
何を示唆しているのか、
もう分かるな?」
弥嘉は固唾を呑んだ後、
ゆっくりと口を開いた。
「ドラゴンの消滅は同時
に“この国の消滅”をも
意味するのですね」
男は、その言葉を聞いて
ただ黙って頷いていた。


