その瞬間、弥嘉は壱加の
背後で漆黒の羽根が数枚
落ちるのを目にした。
『――――!!!!!!??????
あの黒い羽根は!?』
弥嘉が思わず顔を上げて
みると、そこには小さな
人影が揺れ動いていたが
すぐさまその気配を感じ
られなくなった。
またそれと同時に数枚の
漆黒の羽根は跡形もなく
消えていった。
『やはり壱加の仕業では
なさそうですね……』
弥嘉は再度壱加に視線を
戻すなり彼の“無実”を
改めて確信していた。
彼女の不可解な行動に、
訝しげな表情を浮かべた
壱加の背中には、初めて
会った時と同じく純白な
羽根があるだけだった。
弥嘉はようやく意を決し
壱加に声をかけた。
「――それではそろそろ
参りましょうか?」
「はあっ!?てめぇどこに
行くつもりだよっ!?」
一方何の脈絡もないまま
決意だけ告げられた彼は
思わず声を荒げた。
「真犯人探し、ですよ」
その一言だけをぽつりと
呟くと、彼女は穏やかな
笑みを浮かべていた。


