†Dragon Guardian†


『やはり、壱加が!?何故
このような事を?』


壱加に対する疑惑だけが
弥嘉の頭の中をひたすら
駆け巡った。

すると突然、悲痛な叫び
声が炎の中心から聞こえ
てきた。


「――っ!!違うっ!!俺は
何もやってねぇ!!」


そう言って涙を浮かべる
壱加は、普段の彼からは
想像もつかない程の実に
痛々しい姿であった。


「君の言い分は分かった
から、早くこの火を消し
なさい!!でないと放火の
現行犯で、警察に身柄を
拘束してもらうぞっ!!」


壱加の話に耳を傾けよう
ともしない残酷な言葉が
さらに彼を追い詰めた。

それに拍車を掛けるかの
如く周りの人々も彼への
不信感を募らせていた。


「この放火魔っ!!折角の
パーティーをぶち壊しや
がって!!ふざけるな!!」

「そんなに人間が楽しそ
うにしてるのが気に入ら
ねぇのかよっ!?」


しまいには石を投げられ
るような有り様だったが
それでも尚、壱加は弥嘉
に強い視線を向けた。

その目を見た瞬間弥嘉は
ようやく確信した。




『壱加は、やってない』




疑惑が晴れた途端弥嘉は
反射的に彼の元へと走り
出していた。