「取りあえず男子トイレ
に向かうわよっ!!壱加が
やったかどうかは、それ
から判断するべき事なん
じゃないの!?」
「は……はい!!」
紗奈恵に叱咤されてよう
やく我に返った弥嘉は、
涙を拭いて立ち上がる。
「ちょ……ヤヨ!?サナ!?
2人でどこに行くの!?」
耀の必死の制止も虚しく
2人は目的地まで全速力で
駆けていった。
***
既に、混乱しきっている
人混みを押しのけて2人は
尚も走り続けていた。
途中何度も教師達の制止
を受けたが、そのたびに
「守護者です!!」と言い
振り切っていた。
ようやく目的地に着くと
既に消防隊が消火活動を
行っている最中だった。
しかし火の勢いは止まる
ことなく、寧ろ燃え盛る
一方であった。
それをぼんやりと眺めて
いた弥嘉は、炎の中心に
黒い人影が揺らめいてい
るのを感じ取った。
『…………………壱加』
これを見た瞬間、弥嘉と
紗奈恵の中である結論が
導き出された。


